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判断スピードが勝敗を分ける~日系企業がアジアで生き残る道とは – A2A Town (Cambodia) Co., Ltd. 猪塚武氏

Cambodia
日本での就職、選挙出馬、会社起業・経営を経て猪塚氏が飛び出したのは東南アジア、カンボジアだった。首都プノンペンから100kmの距離にある国立公園内で、人々の憩いの場としてだけでなく、企業のカンファレンス開催地、グローバル人材の育成拠点、リタイアしたシニア層が過ごす場所など様々な機能を併せ持つリゾート学園都市を創造するべく奮闘している。

A2A Town (Cambodia) Co., Ltd.  CEO

2015.03.24
【前編】かつての夢を今、カンボジアで~過去と過去が線でつながる – A2A Town (Cambodia) Co., Ltd. 猪塚武氏

幾度もの軌道修正、アジアビジネスの醍醐味

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普段の業務はどんなことをされているのですか?

今のところはまだ政府とのやりとりなども多いので首都プノンペンにオフィスを置いていて、私の生活の拠点もプノンペンです。ここに20人ほどのスタッフが働いていて、あとの120人はキリロムに住んでいます。

投資家として参画していると思われがちですが、実際は全て私が事業を見ています。それどころか街づくりも基本的にほとんどの作業を自社内でやっているんです。都市計画立案をして、測量や設計、建設なども全て自前でやっています。作っては見直し、の繰り返しですね。状況や顧客の要求に合わせて短期間の工程を何度も繰り返す開発方法を指して、ITでは「アジャイル開発」という言葉がありますが、まさにそれを街づくりという分野でしています。

私が朝出社すると、まず当社の建築士4人がデザイン画を持って並んで私を待っているんですね。特にデザインなどのセンス面では日本人の感覚とズレが無いように私がチェックしています。私の仕事は大方ジャッジとチェックに終始していて、従業員たちへの指導などに日々を費やしています。

社内言語は日本語ですか?

言語は全て英語です。社内共通語を日本語にしてしまったらカンボジア人社員は上を目指しにくくなるでしょうし、会社へのロイヤルティも下がるように思います。それに当社は、オーナーは日本人ではあるもののカンボジアの会社ですからね。日本人・カンボジア人の両者にとって第二言語である英語でコミュニケーションをとることで公平さが伝播する効果を期しています。

ただその分、社内ではミスコミュニケーションも生まれやすい側面があります。正直、誰のミスかさえ分からないことも。だからこその「アジャイル開発」で、頻繁にチェックを入れることで齟齬があれば早めに発見し、その都度「同じ失敗が2度なければいいよ」と語りかけたりしています。

自前で建設の全ての作業を担うことは簡単ではありません。作ってみた後で「失敗だった」などと思ったこともあります。だからと言って外注ばかりしていては社内に何の知見や経験も蓄積されないでしょう。そんなもったいないことはしていられません。この大変な作業があることで当社内でノウハウがたまり、人が育つと思っています。

アジアで事業をしていると、「計画した通りにいった」なんてことはそう起きません。計画通りに全ての事が運んだとしたら、それは良い結果を生まないでしょう。たいてい途中には修正が生じているものです。情報を得たその場で仮説を立てて、新たなアクションを起こしていく、間違ったら引き返す。無数もの取捨選択のサイクルを他事業、多国籍でも展開していく。これこそアジアでのビジネスの醍醐味であり難しさだと思っています。

アジア市場において多くの日系企業が進出に失敗しているのもまた事実です。意志決定スピードの遅い企業では、まず勝つことはできません。現場に決裁権を大きく持たすか、また経営者が自ら先陣をきって切り込んでいかない限り戦いは難しいでしょう。

学生×企業のイノベーションを起こす

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ご家族も一緒にカンボジアで生活しているのですか?

はい。最初はシンガポールで生活していましたが、カンボジアで事業を始めて少ししてからこちらに居を移しました。

シンガポールを選んだのは3人いる子どもたちの教育を思ってのことでもありました。今の子どもたち世代の日本の教育は、明らかに海外に負けているという危機感がありました。英語教育だけに限らず、子どもたちには良いものを受けさせたかった。

シンガポールに4年住んだことで家族全員が「英語脳」になり晴れてシンガポールは卒業、最初はカンボジアに来ることに乗り気でなかった子どもたちも今はここでの生活をとても楽しんでくれていますね。

今後の展望について教えて下さい。

おかげさまで順調に売り上げは伸びていますが、今はまだ投資段階にあるので、これから様々な構想を実現させていくところです。

リゾートに関しては現在小さくオープンしている状態ですので、今後は需要に応じて事業を大きくしていければ。音楽フェスが開催できる野外ステージや、スポーツ観戦もできるスタジアムなど作りたいですね。

ただ、今一番注力しているのはリゾート学園都市に向けての大学開校です。
初年度の今年は1学科24名の小規模ながら、来年は2~3学科開設、100名規模に。将来には全学生数3万人を目標にしています。教授陣も英語講師はフィリピンから、IT講師はインドからというように多様性が感じられるようにしていきます。

産学連携も積極的にしていきます。グローバル人材の育成を目的に、大学のカリキュラムは採用予定企業と話して作るなどしています。既に日本などからインターン生も受け入れていますよ。ここでの仕事を通じて、他の国の若者に負けていられないと危機感を持って帰国していく日本人学生の姿を見ていると、まだまだ日本も捨てたものじゃないと感じます。

キリロムの森がビジネスの中心に

キリロムに企業誘致もしていきたい。ITソフトウェア開発の拠点を作り、大学生寮と企業の社員寮を同一にすることで新たな化学反応が生まれることも期待しています。私自身、この事業でトライ&エラーを繰り返してきているだけに様々な知見がたまってきています。東南アジアに進出したい日系企業の足掛かりと私がなることで、一緒に戦っていけたらいいですね。
私が遊ぶには既に十分ですから、「皆で遊ぼう」と言いたい。

当社では「70年計画」と称して今後の事業の発展図を描いていますが、あと70年私が生きることは当然できません。当社がこれからもずっと社会に必要とされる存在であるために、溢れ出るアイデアを吟味して練っているところです。

70年計画のうち、まだその1%も実現していません。これから当社の構想がどんどん明るみになります。仕事上のストレスはあれど、したくないことをやっている……というストレスは今全く感じないんです。やりたいことが盛りだくさんで、まさに今、夢の途中といった感じです。

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