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社会の役に立つ仕事が海外にはたくさん転がっている~飛び込む勇気よりも「捨てる」勇気 – JEDUCATION 代表 長谷川卓生氏

Thailand
オーストラリアの大学で学んだ長谷川氏は、早くから東南アジアの持つ大きな可能性に魅せられた。転職活動で訪れたタイに縁を感じて就職、起業。以来、日本とタイの文化交流の橋渡し役として留学エージェントをはじめとした事業を営む。

JEDUCATION  代表

2015.10.06
【前編】東南アジアを知ることで、日本はもっと強くなる~留学を通じてアジアに対する既存イメージを変える– JEDUCATION 代表 長谷川卓生氏

タイを上から見ている場合じゃない

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転職を繰り返しながらも27歳で起業された長谷川さんですが、起業から現在までタイでの事業はどのように推移してきたのですか?

1999年に起業して、まずは日本人にタイ留学を進めるための留学エージェントとして出発しました。前職の撮影コーディネーション会社のタイ人同僚と共に立ち上げ、彼は今でも私の重要なビジネスパートナーです。

資金も何もない状態からのスタートでしたから、40㎡、家賃8000バーツ(25000円相当)のオフィス兼住宅に暮らしていました。ネットで留学情報を配信するところから始めたのですが、それだけでは資金が不十分だったため、海外ホテルの予約サイトの翻訳などを請け負って食いつないでいました。あの頃東南アジアのホテルをネットで予約していた方は、私が翻訳したサイトを見ていたかもしれませんね。

日本人留学生を受け入れるホストファミリーを探しているなかで、逆に「自分の子どもを日本に留学させたい」といった要望が集まったのに伴い、2001年からタイ人の日本留学も扱うようになりました。数年前から、タイに限らず日本人留学生全体の数がガクンと減ったことで日本からのタイ留学事業は今はストップしていて、現在はタイからの日本留学がメインの事業になっています。

2004年には、留学生募集の前段階として日本語学校を開校、2007年には当社を介した学生たちを在タイ日系企業への就職を実現するための人材紹介業も始め、今の事業3本柱の形が整いました。

タイから日本に留学する生徒は年間どのくらいいらっしゃいますか?

当社を介して日本留学する学生数は、去年の実績で290人程度(短期・長期含む)いらっしゃいます。これは、タイから日本に私費留学する学生全体の約半数に相当し、当社が日本留学エージェントとしてタイ最大の機関となっているということを意味します。

大抵の学生さんが1年~1年半(最長2年)のあいだ日本の語学学校に通いますが、これには生活費込みで年間200万円程度がかかります。タイ人のみならず、日本人にとっても大きな出費ですよね。それでも初年度から20名がお客様になってくださり、以降順調に学生数が増えてきているところです。東日本大震災で学生数は一時期停滞しましたが、今ではまた盛り返してきていますね。

留学というのは高価な商品であるにもかかわらず、どんどんお客様が増えているのですね!

それだけタイに中間層が爆発的に増えているのです。当社のお客様には「お金の工面は大変だが、なんとか頑張って子どもを日本に送り出す」という状況のご家族はむしろ少数で、しかも年々減っている。タイ人家庭の金銭的な余裕がうかがえます。

私の起業背景が「日本人の中にある、東南アジアへの上から目線を変えたい」というものでしたが、今のタイに対してこのような「上から目線」をまだ持っているのだとしたら既にナンセンスです。タイが目覚ましい成長を遂げ、富裕層の増えていく様を肌で実感してきた身からすれば、この期に及んでタイを下に見ているのは偏見というより単なる井の中の蛙であるように感じられます。

ただ、タイ経済の急成長に比べれば、日本への留学生数の増加はややゆるやかです。もっと大きく伸びてもいいはずなのですが。それだけ経済の成長が急だとも言えますが、日本が留学先として選ばれなくなっている、日本の存在感が薄れてきているという色合いが強いように感じ、危機感を抱いているところです。


オール・ジャパンで存在感を示す

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タイ人の日本に対する興味という観点で言えば、旅行とグルメは賑わっています。進出日系企業にしても、関連業界へのニーズは高いですね。しかし、家電などに代表される「MADE IN JAPAN」は残念ながら、かつての輝きは失ってしまっている状態です。以前はタイ人たちもJ-POPもよく聴いていましたが、今では街で耳にすることはほとんどありません。

タイ人の生活の中に日本製があったから、巡り巡って日本語学習者も増えていたのです。私たちの事業は、日本人気あってこそのビジネスです。タイ社会の中で日本の存在感が薄れることは、当社の事業がグラつくことと同じなのです。この日本留学事業はポテンシャルも高いマーケットですが、待っているだけでお客様がやってきてくれるわけではありません。そこには何かしらの仕掛けが必要です。

留学というと欧米を選ぶ志向がタイにも根強くあり、日本はどちらかと言うとニッチな選択肢です。だからこそ、選ばれ続けるためには日本の魅力を最大限アピールしていかなくてはいけません。

当社は創業初期から年2回、日本留学フェアを単独で開催してきていますが、これが近年は当社のみならずバンコク日本人商工会議所や在タイ日系企業も巻き込んだ大きなイベントへと発展してきています。

今年2月には「JAPAN EXPO IN THAILAND 2015」をタイ国内最大規模の会場で開催し、3日間で約7万5000人にご来場いただきました。多くの日系企業にもご参画いただき、留学だけでなく就職フェアなども併せた複合的なイベントとなりました。

当社はイベント会社ではないので、このような大がかりなイベントを主催するのは本当に大変で、場を作り上げていく過程はまさに修羅場のようですが、オール・ジャパンで日本を売り込んでいくことが今まさに必要だと思っています。タイに進出する日系企業も年を追うごとに増えてきており、日本の製品・サービスがどんどんタイ社会に入り込んできています。これを追い風にして今後もこの流れを続けていきたいですね。

この記事を読まれている方に何かメッセージをお願いします。

「海外にはビジネスチャンスが溢れている」といった話はよく耳にしますが、私自身の経験からお話させていただくと、「海外には社会の役に立つ仕事がごろごろ転がっている」というのが実感です。

世の中のためになる仕事がしたいと思っている方にとっては、日本より海外の方が見つけやすいと思います。私も日本とタイの文化交流という役割の一端を、この留学エージェントというビジネスを通じて担うことにとてもやりがいを感じています。自己満足かもしれませんが、自分のしていることが本当に社会のためになっているという実感を得られやすいのが海外なのではないでしょうか。

海外に出るということに関しても、最初は出ること自体が目的でいいと思いますが、その国にとって必要な存在となれば自ずと居場所ができるはずです。それが結果的には、自分がそこにいなくてはならない必然性を伴った仕事に就けたということでしょう。

海外で仕事をして生活していると、日本の友人たちからは「大変だろう」などと声をかけられることもありますが、海外で暮らす勇気なんて必要ありませんよ。私にとっては日本にいるよりも楽です。ましてやバンコクは物質的にも恵まれていますし。

むしろ「日本を出る勇気」、これが必要です。住み慣れた街に気心の知れた友人たち、仕事や生活の勝手知ったる環境は最高に居心地の良いものです。だからこそ既存の心地よい環境を捨てて、外に飛び出せる勇気を持つことは難しい。

行き先は別に海外でなくてもいいんです、例えば東京から大阪に出るのだって立派な「捨てる勇気」だと思いますよ。そうして新天地で頑張ることで、人は成長していけるのだと思います。

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