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“UCF”がアジアのITビジネスを加速させる – NANAROQ 佐々木慈和氏のシンガポール進出までの軌跡

Singapore
コンプライアンス、いわゆる法令対応の分野で、日本では唯一のサービスを行うIT会社、NANAROQの社長兼CEO。リスクを恐れず挑戦する楽観力と偶然を必然に変えていく前進力をあわせ持ち、大学受験の失敗、創業期ビジネスの不振といったピンチを、飛躍の転機に変えてきた。2013年、シンガポールに営業拠点設立。自ら同社のアジア戦略の先頭に立つ。

NANAROQ 株式会社  代表取締役社長兼 CEO

2013.10.01
後編:キャリアの重要な岐路で、あえて崖から飛べますか?

初めての海外とITとの出会いは、自分の意志とは無関係に”偶然”が続いた先にありましたね

- 佐々木さんの初めての海外体験はどういうものだったのでしょうか

18、19の頃は岩手から東京に出て、普通に大学生活をと思っていたのですが、受験に失敗。受かった沖縄の大学に進学したものの、ろくに勉強もせず。このまま遊んでばかりいたらダメになる、環境を変えて自分を変えようと決意しました。

今さら沖縄から東京へ戻るのもどうかと思って色々と考えていたら、偶然仲のいい知り合いがアメリカへ留学するって話を聞いて。 彼に色々と聞いたら意外に簡単に行けることが解りまして。ビザも5年が簡単に取れたので、満を持してアメリカへ行きました。

- アメリカではどのように過ごされたのでしょうか

取りあえず大学に入ろうと思いまして、これもまた偶然なのですが、アメリカのシリコンバレーでITベンチャーをやっている叔父がいまして。僕が行った96年はちょうどITバブルの時代で、そんな叔父から「これからはITだ、ITはいいぞ」と洗脳されたんです。

すっかりその気になり、南カリフォルニア大学のコンピューターサイエンス学科に入学しました。そこが転機ですね。当時アメリカではインターンのバイトがたくさんあったんですよ。毎日バイト情報が教授からメールで送られてくる。

就職フェアにいけば、コンピューターサイエンス学科の学生がそこらへんを歩いていると、企業のスカウトにすぐ声をかけられていました。それくらい、当時はエンジニアが求められていました。日本の会社にはない熱い空気を肌で感じて、そこから海外志向になりました。「そのうちオレも高く売れるぞ…」って、ちょっとワクワクしましたね。

- 大学卒業後、アメリカで働くという選択肢はありましたか

アメリカで就職したい気持ちはあったんですが、ちょうど卒業の時にアメリカでITバブルがはじけてしまいまして、引く手あまただったITの就職口が一瞬でゼロに。本当に、劇的にゼロになったんですよ。優秀だったクラスメートが、何人も就職できない現実を見ました。

僕はたまたま日本に一時帰国した時就職活動したら、うれしいことにすぐ受かりまして。留学生って、本当に扱いが良かったんです。面接のための新幹線代ももらえるし、会社に行くと役員室みたいなところでディナーとかね。98、99年くらいかな。日本はアメリカに比べるとまだITが遅れていたので、本場で勉強してきた留学生は即戦力になる、という認識があったかもしれないですね。

立上げに700万円かけた最初のサービスは、半年で2万円の売上にもなりませんでした

- 日本に帰国され、佐々木さんがビジネスを展開するまでは何をなさっていたのでしょうか

3年2カ月の間、日本ヒューレット・パッカード社で、セキュリティーコンサルティングの仕事に従事しました。それから、自分でビジネスを作りたく起業したのが2005年ですね。これが、失敗ばかりでした。最初のサービスが立ち上げに700万円かかったのですが、半年の売り上げが1万2000円でした。1万2000円ですよ? ビジネスって難しいという経験をした半年でした。

もともとの本職だったITのコンサル事業で収入は確保していたのですが、新規事業で失敗をし過ぎてしまいまして、「じゃあ得意なIT畑で、オモシロイもの、興味を引かれるものは何だろう」と探し、出会ったのが現在のコア事業となっているGRC、UCFです。

日本未上陸の”UCF”に出会った時、「これはオモシロそう」って思いましたね

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- GRC、UCFと出会ったきっかけは何だったのでしょうか

そもそもはインドとの取引です。ITの事業でインドの会社と接点ができたのがきっかけ。インドって国は主にアメリカ向けのビジネスをやっていて、グローバル・ビジネスのスタンダードを知っているんですよ。

その中で、GRCというサービスを教えてもらったんです。ガバナンス・リスク・コンプライアンスの略で、ITを使って会社が守るべきルールを最適化するビジネスですね。この分野のマーケットが世界では急拡大していて、でも日本にはまだ上陸していない。参入障壁も高い。

そこに紐付いているUCFというサービスってのが、またオモシロそうだなと。ちょうど創業時のビジネスには限界を感じていたタイミングということもあって、そこを事業のコアに据えたのが2009年です。

- UCFとは一体どのようなサービスなのでしょうか

UCFというのは、ユニファイド・コンプライアンス・フレームワークの略です。一言でいうと世界の法令データベースですね。 世界中の法令、決まり事、ルールを1枚のエクセルシートにデータベース化して、要求事項の重複を整理するフレームワークですね。

日本には日本の、アメリカにはアメリカの法律があって、しかもそれが不定期的に変更されたり、新しく追加されたりする。1つ1つ個別にコンプライアンス対応をするのは、企業にとって延々と積み重なっていく大きな負担になります。

でも、実は別々の法律でまったく同じことを言っている、同じ対策で事足りる、ということがある。そういった重複を整理すると、何十%ものコスト、労力、時間を削減できるようになるんです。例えて言うと今まで予算100万円、100人、100時間でやっていたコンプライアンスまわりの仕事を30万円、30人30時間でもできるようにする。人の介在を大幅に減らして効率化する。 UCFは、そういうサービスです。

ちなみに、日本でUCFをサービスとして提供しているのは、2013年9月現在、まだNANAROQだけです。

まずはIT化の進むシンガポールで成功事例を作るところから始めていきますよ

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- UCFは例えばアジアの法令を取り込んでいくような事業展開も考えられますよね

そうですね。GRC、UCFのマーケットとして注目しているのは、アジア。特に、シンガポールと香港。更にタイ、ベトナム、インドネシア等の外資系企業の参入障壁が高い国。オモシロイですね、GRCのニーズが高くて。シンガポールなんて、すぐにルールが変わるんですよ。

IT化が徹底していて、変化のスピードが速い。企業側もそれだけスピーディーな対応を求められますし、だからこそ私たちのサービスが役に立ちます。今後は、日本国内とアメリカの事例をベースに、日本企業のアジア進出をサポートすることに注力していきたいと考えています。その最初の1歩として、シンガポールに拠点を開設しました。社長である私自身が現地に赴任し、アジア向けのビジネスモデルを再構築する考えです。

シンガポールはアジアの中でも特に多国籍の人間が集まる国ですから。そういうところで1つ成功事例をつくれたら、他の国にも応用できますよね。シンガポールにはそういった魅力があります。幸い、日本では成功事例が順調に増えていて、担当のスタッフに任せまわりだしています。

うちは半年に一回役員合宿をするのですが、前回の合宿の時、役員に「アジア攻めに行こうと思うんだけど俺いなくて大丈夫?」って聞いたら即答で「大丈夫」と。多少引き止めるかと思いきや即答ですよ。ちょっと寂しかった反面、頼もしい仲間が周りにいるので安心してアジア展開に挑戦できています。彼らには本当に感謝しています。

今後は明確な結果を求めてアジアで挑戦します。これまでと同じように数多くの失敗が待っていると思いますが、その分だけビジネスのチャンスも大きく広がることを期待しています。

後編:[キャリアの重要な岐路で、あえて崖から飛べますか?]は10/8掲載されます。

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